千年の都、京都は、イタリアのコモ、フランスのリヨンと並ぶ、日本を代表するプリント染色の都でもあります。着物の文化をルーツに持ち、京都の町中には今も多くの職人達が暮らし、働いています。生産者と消費者、そして観光で訪れる人々が共存する町、それが京都なのです。
京都のプリント染色の歴史は、江戸時代元禄年間に扇絵師宮崎友禅斎が生きた時代に遡ります。この時代に、織や刺繍ではなく、絵師が描いた扇絵の画風を活かした多彩な色彩による小袖の生地が染めによってつくられるようになりました。花や風景などの絵画的な文様は、手で輪郭を描き、手で色を挿して染め上げられました。これが今に続く手描き友禅の技法で、その後、江戸時代末期から明治時代初頭にかけて、型紙を使った捺染技法による型紙友禅が生み出されました。そして日々の改良によって今日、京都で職人達の手によって染め上げられる手捺染の技法が生み出されたのです。